最近古い Kamaka の修理というか再生に近いものが4件入っています。いずれもソプラノサイズ、ゴールドラベルの標準とパイナップル、ホワイトラベル1点、そしてKamaka Keiki です。
ゴールドラベルは1950年代、1960年代のものですから相当に弾き込まれていますし、割れたり、剥がれたり、何度も修理された(しようとした)跡があるものばかりです。
どういう風に修理するという話もそれはそれで興味のある方もいらっしゃると思いますが、私はいつも持ち込まれる個体ごとにあるであろうストーリーが気になります。
どうしてこんなことになっちゃったのだろうか?とか、やっぱりこうしたかったんだろう、とか、オーナーや修理をしようとした人の行動や気持ちを想い浮かべてみます。当然ですが中にはどうにも理由が思い当たらない奇妙なものも少なくありません。
前にも書きましたが古い Kamaka などはブリッジの剥がれ、裏板の剥がれなどが当たり前のように起こりますが、もうひとつ多いのが落とす、ぶつけるなどで起こる穴あきや表板のクラック修理です。
小さなボディで大きな音を鳴らすためにもともとかなり薄くしてある表板ですから弦の張力だけでもブリッジ周りにクラックが起こりやすいのですが、明らかに落としたことで引き起こされたであろうクラックもあります。
立てたウクレレを正面から見て右下の部分、お尻のような部分ですね、ここに修理が集中します。右下のサイドに穴あき、右下部分中心に表板、裏板の剥がれ、そしてブリッジ右側部分の表板のクラックの3つ揃ったケースが結構多いです。右下部修理3点セットですね。
これはそのウクレレを人が弾いていて、あるいは弾こうと思って手にした形のまま何らかの原因で手が離れて、そのままの角度で落下し右下部分から床と衝突したのだと思われます。
落とした衝撃で直接床に当たったサイドには穴があき、さらに箱全体が歪み、耐えきれなくなって表、裏の接着剤が剥がれる。そうでなくても割れそうな薄い表板は衝撃で簡単に割れてしまう・・ということなのでしょう。
もちろん平たい床だけではありませんから、当たりどころが悪くてクラックですまないケースもあります。表板右下部分に直接、あるいは角への衝撃で表板の歪みが極端に発生すると表板の部分が砕けてしまうこともあります。
いずれにしても大変ですが修理のしようはあります。最悪なのは割れてしまった、剥がれてしまったということより、修理しようとして強力な接着剤をベトベトに使ってしてしまったということの方が、始末が悪く楽器をダメにしてしまいます。
どんな接着剤を使おうかと考える前に、まず修理の経験者に相談してみてください。
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