アメリカでは昔から何でも自分で作るというDIY文化が根付いているようです。開拓者精神なんでしょうか、国土が広くて何でも店で売っているわけではないので当然なのかもしれません。私にとってはそこがアメリカの良さであり、最大の魅力なんですね。
アメリカの雑誌で1902年に創刊された”Popular Mechanics”(割と最近まで発刊されていて現在はWeb上で展開しているようです)というのがありました。 "Popular Sciense" "Mechanix Illustrated" など同じような雑誌もいくつか発行されており、若い頃それらを見ていると毎号あらゆる物を自分で作るための特集がでているんですね。 ”plans” というんですが、要はHow Toと図面・図解です。見るたびにわくわくするものばかりでした。
現在でもギターやウクレレやバンジョーなどを製作する人のために原寸の正確な図面が販売されていますが、やはり "plans" と呼ばれています。
1950年代の “Popular Mechanics” にはエレキギターの作り方などが出ているようなので、ふとシガーボックス・ウクレレなんかも記事になっているんじゃないかと思い調べてみました。
すると”Popular Mechanics” 創刊以前の1880年代に “Cigar Box Banjo” の "plans" が出ている出版物があることがわかりました。
1884年発行の子供用雑誌らしいのですが “Uncle Enos Banjo plans" というシガーボックスとホウキの棒を使った5弦バンジョーの作り方が掲載されているようです。
この ”plans” を書いたのはDaniel Carter Beardという人でボーイスカウトの創始者なんだそうです。なんとなく当時のアメリカにおけるシガーボックス楽器の位置付けみたいなものが感じられる気がします。
さらに調べると、やはりありました。 1917年の ”Popular Mechanics”に S.H.Samuelsという人が “A Homemade Hawaiian Ukulele” というシガーボックス・ウクレレの作り方を記事に書いていました。
1917年と言えばアメリカでウクレレが大流行したころで、マーチンがウクレレを出し始めたりカマカが会社をスタートさせたりした頃です。早くもシガーボックスでウクレレを作ろうという話だったようです。
記事のイントロ部分が面白いので紹介しておきましょう。
「一弦のバンジョー、シガーボックス・ギターや、似たようなヴォードビルで人気の楽器も全てウクレレには自担駄を踏んで道を開けるしかない・・・」
「ウクレレは、特にそのサイズがシガーボックスタイプのボディー構造にピッタリなのである・・・」
などとあります。
ウクレレとシガーボックス、最初から相性が良かったんですね。
1884 Uncle Enos Cigar Box Banjo
写真は www.cigarboxguitar.com より
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