なんだかんだ3年くらい経ってしまった Kmaka Cigar Box Ukulele のレプリカ、ついに完成しました。
だいたいこういうものは、あーでもない、こーでもないと考えている時間が一番楽しいのでなかなかプランが確定しませんでした。オリジナルがいったいどれなのか?箱の裏を使うのと表を使うのとどちらがいいのか?どのスタイルのネックが「本物」か?などなど、調べれば調べるほど新事実が浮かび上がってきます。
確実に Samuel Kamaka Jr. が作ったという Kamaka 一族が認め、サインも入っているものは 2000 年前後に作られたものばかりで、箱の裏を使い、ヘッドストックというか糸巻き部分の形がバイオリン型だが短かい、あるいは通常のウクレレと同じ形というものばかりです。はっきり言って見た目が全く面白く無いんですね。やはり最初の頃のものだと言われる箱の表がハッキリとわかる、そして妙に細長いバイオリン型のヘッドのモデルにインパクトがあります。
ということで、せっかく作るならそれが偽物、レプリカであってもあの形だ!という結論に達し、まずは写真をいくつも集め、形とサイズを割り出して図面をひき始め制作を開始しました。箱はもちろん温めてあった Sam’l J. Davis 1886 です。
一番悩んだのは表板の厚さです。表板は弦の振動をまず響かせるための重要な部分です。一般的に表板は薄い方が大きな音が出るもので昔の Kamaka Gold Label などは 2mm かそれ以下の厚さです。また有名なウクレレメーカーが作った「四角いウクレレ」もかなり薄く作って「普通のウクレレ以上に良く鳴る」と言わせて、メーカーの面目を保っていました。
箱の裏を使った場合は思い切り薄く作れると思います。また、そのために裏を使っているのではないかとも思います。しかし、私が写真で見た箱の表を使ったものは、穴の切り口から見るとどれもあえて薄くする加工はしていないようです。
この箱は全て厚さ 5mm くらいの杉系の単板で作られています。作りがしっかりしていれば通常のウクレレのような大きな音は出せなくとも、ある程度の箱鳴りは期待できるのではないかと予想しました。
結局、そのままでは気になるので蓋を少しだけ薄くしてみることにしました。もちろん表側を削っては 1886 の文字などが消えてしまい面白くなくなるので、裏側をサンディングして 4mm 程度に収めました。
結果は良好、シガーボックスにしてはそこそこ大きな音で鳴ります。箱鳴りも感じられます。
バイオリンタイプの糸巻きについてはバイオリン制作者のブログなどを参考に、最初に5mm 程度の穴を開けてからバイオリン用のリーマでテーパー状に少しづつ穴を広げていきます。よく考えたら古い木のペグも全く同じですよね、縦か横かの違いでしたね。
ただしこのペグは正直言って使いにくいです。古い木のペグと同じでチューニングが合わせにくいというのはありますが、どの弦がどのペグなのかが感覚的に掴みにくいんですね。慣れればいい、あるいは自分の感覚に合わせてどの弦にどのペグを割り当てるか決めればいいと思うのですが見た目が美しく無い組み合わせもありますよね。
ま、今のウクレレの方が使いやすいのは確かです。
この Kamaka C.B.U. replica は一応非売品となります。
箱はまだいくつか手持ちがありますので、また作る可能性はありますがどうするかはまだ検討中です。



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