シガーボックス・ウクレレで使用している葉巻の箱はもともと杉系の単板で作られていたものでしたが、時代の流れとともにそれが合板、所謂ベニヤ板などにとって変わられてきました。
そもそも上に紙を貼ったものが多いですから下の板が何かは見た目であまり気にならないのですが、最近ではその紙の下はベニヤではなく厚手のボール紙だったり木質のMDFなどで作られた箱も見られるようになりました。
MDFとは Middle Density Fiberboard のことで 中密度繊維板と訳されますが、木質繊維を原料とする成型板の一種です。スピーカーボックスなどでよく使われていますが、通常の木の板やベニヤ板に比べると平面性にすぐれているので箱の形は大変キレイで角の直角などもかなり正確です。素材は均質ですが反面、重量が少し重いです。
さて、この MDF 製の箱はウクレレにしてちゃんと鳴るんでしょうか?
フィリピンの TABACALERA の箱は以前はベニヤ板に紙を貼ったものでしたが、いつの間にか MDF 製に変わっています。今回はこの MDF 製の TABACALERA がいくつか入ってきたので試しに 1 本作って確認してみることにしました。
MDF のボードは工作し易いのですが、繊維を圧縮したものですからちょっと反応が鈍い感じがします。なんだかんだと半信半疑で作業を開始しましたが、まず、MDF ボードそのものは塗装に向いていないことが判明。ファイバーボードですから水分をよく吸います。油分も同じです。基本的にそのままの状態で使った方が良いようです。
今回はいかにも裏板風の MDF 側をトップに使うのではなく表側を使うことにしました。
MDF 材は全て厚さ約 5mm、均質ですがちょっと厚めですね。トントンと叩いてみると、まあ鳴らないこともなさそうです。
組み上げてみると箱がピタッと正確に作られていますので見栄えはいいですね。
肝心な音ですが、予想に反して鳴っています、、、が、やはりベニヤ製などに比べると音が小さいです。なにしろ厚さが 5mm ですから木材やベニヤでも 5mm もあると同じくらいの鳴り方です。ということで厚さ 5mm にしては鳴るなという感じです。
しかし、「響き方」がちょっと違う気がします。まず弾いているとサウンドホールから前方向には音が出ているのですが、弾いている本人の方向(上向き)にはあまり届いていない感じです。
通常のウクレレだとトップの板が振動して音が出てそれが箱の中で増幅されて響くという感じなのに、箱に触ってみるとちょっと違うんですね。MDF の箱の場合は箱全体の材料が均質だからなのか箱全体が同じように振動しているんですね。しかも箱の裏に手を当てると急に音が小さくなります。振動が減ってしまう感じなんですね。
弾く時に身体に裏面が当たっていると音が小さくなっているということなんでしょうか、、
音質としては柔らかい音とでもいいますか、高音側よりは低音側の方がよく鳴っている感じです。まだ結論を出すには早いのです「MDF の箱で作ったウクレレでも一応音は出る」ということでしょうか。
ご興味ある方は弾いてみてください。SHOP の方に少し安めに出しておきます。
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