シガーボックス・ウクレレは通常のウクレレと同じ4弦が普通ですから調弦(チューニング)はウクレレとして考えられる範囲のバリエーションとなります。
早い話 G C E Aが一般的です。余談ですが先日アメリカ人の方が God Can Eat Anything と覚えられていましたよ。
では、シガーボックス・ギターと言われるものはどうでしょう?ギターといえば6弦であり、6弦の弦楽器をギターと呼ぶのだと思うのが普通です。ところがシガーボックス・ギターと呼ばれる楽器は3弦、4弦が主流です。初めて見る方はどうしてもギターとは認識できず、沖縄のカンカラ三線か?電気ウクレレの一種か?などと思われるようです。
実際にはマイナーですが4弦のテナーギターや、複弦の12弦ギターもあるんですけれどね。
そもそもがホームメイドの簡易楽器ですから前にも書いたようにホウキの棒に弦を1本張ったDiddley Bowから始まって葉巻の箱をボディにして、、、というものがシガーボックス・ギターです。
本当はは6弦のギターが欲しいのですが、プロの職人では無いですから3弦くらいでなんとか和音も出せる最低限のギターのような楽器を作るというのがやっとです。
アメリカではやはり3弦のシガーボックス・ギターが主流のようです。4弦のシガーボックス・ギターはどちらかというと既に6弦のギターを弾いている人、あるいはもう少し楽器としての形を整えたいという人が作るようです。
でも、作る人、弾く人にとってはやはり3弦のギター、4弦のギター、あくまでギターなんですね。
さてその調弦(チューニング)はどうなっているのでしょうか?
まずシガーボックス・ギターはフレットを押さえずに解放弦で引いた時に和音が出るオープン・チューニングが普通です。だれでも簡単に弾けるということやスライドバー(ガラス瓶の首やナイフなど)で弾くのに向いているものです。オープンGとかオープンDなどと呼ばれるいくつかの調弦パターンがあります。それぞれ解放弦を鳴らすとGの和音、Dの和音が出るというものです。ここがウクレレとは違うところです。
3弦の場合、最も標準的なオープンG調弦が「G D G」です。次にオープンD調弦がありますが「D A D」となり基本が「1-5-1」の考え方です。
4弦の場合、は「G D G B」が標準的なオープンG調弦となります。「1-5-1-3」ですね。ただし4弦になるとオープン調弦ではなく6弦ギターとの共通性を求める調弦のバリエーションがあります。
ひとつはArkansas Tenorと呼ばれる「E A D G」というものです。よく見てください6弦ギターの低い方の4弦と同じです。
もうひとつChicago Tenorという「D G B E」、これもよく見てください、6弦ギターの高い方の4弦と同じですね。ということはバリトン・ウクレレと同じなんです。
現在TAILGATEで製作しているSpider Reso Tenor Guitarは4弦です。スケールが19インチ(約48cm)で通常のギターの25インチ前後(約63cm)より短いのでテナー・ギターと呼びます。一般的なテナー・ギターは23インチ前後(約58cm)なのでさらに短いですね。バリトン・ウクレレ並みのサイズです。これはポール・マッカートニーが使っていたMatty Baratto氏製作のCigfiddleを参考にしています。
このCigfiddle の調弦は「D A D F#」のオープンD調弦となっています。おそらく通常の「G D G B」ギターに対して7フレット分ほど短いですから、オープンGの7フレット目にカポを装着した状態をイメージしているのだと思います。
装着している弦もリゾネイター・ギターなので、かなり太くて結構なヘビーゲージです。これはスライド奏法などに向いています。 (弦の選び方についてはまた書きます)
Spider Reso Tenor Guitarもこれに習って同じ太さで同じ調弦でお届けします。
ただしシガーボックス・ギターの世界は極めて自由です。ウクレレと同じような調弦も良し、テナー・バンジョーやマンドリンのような調弦も良しです。ご自分のお好みで様々な調弦でお楽しみください。
左:3弦スケール25.5インチ(約65cm)
右:4弦スケール19インチ(約48cm)
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