シガーボックスが出回り出したのが19世紀中頃、アメリカの南北戦争をきっかけに25本入り、50本入りなど一種の規格化が進んだことは前回書いたとおりです。では、シガーボックスを利用した弦楽器というものはいつ頃どんなものが登場するのでしょうか。
まず、写真やイラストで残っている例を調べてみると我々が想像する以上にフィドル(ヴァイオリン)が多いことに気がつきます。南北戦争中の兵隊がテントの横でシガーボックスフィドルを弾いているというイラストなどを見ることができます。
また、シガーボックスを利用して作られているものだけではありませんが、手作りの弦楽器としてバンジョーも多く見かけます。おそらくヨーロッパからアメリカへの移民が持ち込んだ最初の楽器がフィドル(ヴァイオリン)でアフリカから奴隷としてやってきた人々が持ち込んだのがバンジョーの原型だったのでしょう。
ではギターやウクレレはいつ頃アメリカへ持ちこまれたのでしょうか。有名なマーチンギターがドイツからやってきてニューヨークに店を構えたのが1833年です。もちろろんマーチンが初めてギターを持ち込んだわけではありませんが当時のギターはとても繊細な楽器だったようで、現代の我々が感じているほどメインの楽器として一般的ではなかったようです。その後ギター自体の頑丈さと音量の改良が行われるにつれて各ジャンルのメイン楽器として広がっていったようです。
一方ウクレレはその原型を持ち込んだと言われるマニュエル・ヌネスがハワイに上陸したのが1879年ですから当然ウクレレと呼ばれる楽器が登場するのはこれ以降です。カマカが創立され、マーチンがウクレレの生産を始めたのが1916年ということですからウクレレが一般的に知られるようになったのはおそらく20世紀に入ってからだと思われます。
19世紀中頃から始まったと思われるシガーボックス楽器は当初フィドルやバンジョーのようにすでに一般的になっていた楽器を手近なシガーボックスで作るということだったようです。当然ですがシガーボックス・ウクレレと呼ばれるものが出てくるのはウクレレが広く認知されるようになる20世紀に入ってからだと言えるでしょう。
ではシガーボックス・ギターと呼ばれるものはどうなんでしょうか?そもそも3弦、4弦といった、これをギターと呼ぶのかというようなものが多いんですね・・・
写真はScott DunbarのCDジャケットより
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